第一印象が持つ大きな意味

卒業シーズン。新年度に向けて新たな気持ちでと意気込んでいる方も多いかと思います。

そんな方へ、第一印象がいかに重要かを少しご紹介したいと思います。 人物の評価は第一印象で決まる、というと「まさか」と思う人も多いでしょう。

 

しかし、あながち誇張とも言えないのです。 「人間は独りでは人間ではない」と言ったのはイギリスの詩人、テニソンです。あるいは「人間は社会的な動物である」という言葉もあるように、私たちの生活はさまざまな人間関係で成り立っています。

 

特に組織の中にいると、同僚や上司といかにうまく付き合っていくかが大きな問題になりますし、得意先との付き合い方も大切でしょう。 社会・組織の中で生き抜いていくということはスムーズな人間関係を維持していくこと、と言い換えることができるかもしれません。

 

人物の評価というのは第一印象によってかなりの部分が決まってしまいます。最初に悪いイメージをもたれてしまうと、それを挽回するのは並大抵のことではありません。 付き合いが深まるにしたがって、最初の印象が全く異なっていた事が分かることもありますが、それは例外的な事と考えるべきでしょう。

 

以下に挙げる形容詞は、A氏とB氏という二人の人物の特徴を示しています。両者がどんな人物かを想像してみてください。

 

A氏:知的・批判力がある・決断力がある・強情・嫉妬深い

 

B氏:嫉妬深い・強情・決断力がある・批判力がある・知的

 

このように並べられた特徴を考えると、おそらく多くの人がA氏に対して好意的な印象を抱いたはずです。よく見ると両者の特徴は全く同じなのですが、並べる順番を変えたことによって両者に対する印象には大きな違いが出てしまいます。

 

これは最初に示された特徴が、あとの特徴にも影響を与えてしまうからです。「知的」という前提があると、次に「批判力がある」という特徴が来た時に、その批判も知的な面が反映されたもの、と考えるのは当然の心理でしょう。

 

B氏のように、いきなり嫉妬深いとか強情といった特徴がくると、人柄に問題がありそうな印象を受けます。そうなると、決断力や批判力があっても、アテにならないと考えてしまうのは当然でしょう。

 

ここで挙げられた特徴はやや極端ですが、誰でも日常的に似たような判断をしているはずです。 最初に提示された情報が全体の印象を規定してしまう事を「初頭効果(しょとうこうか)」と言います。

 

第一印象が重要なのは、この効果があるからなのです。 どんな評価でもいったん下されると、くつがえすのは大変ですが、性格に対する評価などよりも変わりにくいのは能力に対する評価だといわれます。

 

「能力が低い」と思われている人は成功しても「たまたま」とか「運が良かっただけ」で済まされ、失敗すると「やっぱりダメなヤツ」と決めつけられてしまうのです。 同世代の人たちに低く評価されるだけならまだしも、上司に低く評価されると決定的です。

 

いったん下してしまった評価を変えるのは「人を見る目がない」ことを認めることになるので、滅多なことでは見直してもらえません。 同期で入社したのに能力の違いで出世のスピードに大きな差が出るのはサラリーマンの世界ではよくあることですが、そもそものきっかけはほんの小さなことなのかもしれません。

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