心理学ジャンル前編

心理学ジャンル前編

今回は、前回ご紹介した心理学のジャンルについて軽くそれぞれご紹介します。

●認知心理学(「知」のメカニズムを研究)
人間の心の働きは「知・情・意」(知識・感情・意志)の3つで成り立っていると言われています。
この3つのうち、「知」にスポットを当てて研究するのが認知心理学です。
心の働きというのは、脳の働きのことであり、認知心理学は脳の働きの研究と密接にかかわってきます。
「知覚」「記憶」「学習」などです。

●神経心理学(観察と実験で脳の働きにアプローチ)
認知心理学とはまた違ったアプローチで脳の働きを研究しているのが「神経心理学」です。研究手法は2つに大別することができます。
1つは臨床神経心理学です。
これは簡単に言ってしまうと、病気や事故で神経系に損傷を負った時にどういう障害が出るのかを研究するものです。
この分野の研究によって、脳の働きがある程度分かってきました。

もう一つは、実験神経心理学と呼ばれるもので近年発達したものです。
解明されてない部分が多い脳の問題を扱っている為、認知心理学をはじめとする、ほかのジャンルの心理学との複合的な研究も期待されています。

●性格心理学(性格を分類し、形成要因を研究)
性格の分類と、その形成要因を研究している心理学です。
性格判断のための「心理テスト」は多数開発されていて、誰でも一度くらいは受けたことがあるのではないでしょうか。ちなみに心理テストは
発達の度合いを調べる「知能テスト」
職業適性などを調べる「特殊能力検査」
性格を調べる「性格検査」
の3種類に大別できます。
性格検査はいくつかありますが、判定できるのは被験者の性格のごく一部で、絶対的なものではありません。また、被験者の自己認識に誤りがあると、その間違った認識に近い判定結果が出てしまうケースなどもあります。

●発達心理学(発達し続ける人間の生涯を見つめる)
人間の発達のメカニズムを研究するとともに、発達の各段階で行動などにどのような違いが見られるか、といったことを研究する心理学です。
例えば、知覚にスポットをあてて、幼児期の知覚と青年期の知覚とではどのような違いがあるのかを研究、といった具合です。
この場合、とくに年齢を区切らずに考える「知覚心理学」と密接にかかわってくることになります。
発達という言葉のイメージから若年層が研究対象のようにも受け取られがちですが、実際には人間は死を迎えるまで発達を続けると考えられます。研究対象が非常に広い事が分かります。


●教育心理学(誰もが一度は向き合うテーマに取り組む)

数ある心理学のジャンルのなかで、比較的身近なイメージのある心理学です。その期間を卒業したつもりでも、親の立場になればまた、この問題と向き合わざるをえません。

教育を心理学的に考えると、まず教える側の心理があります。教育現場にいる人は、ともするとこの教える側の心理に偏りがちだと言われます。しかし実際には教えられる側の心理というものがあり、教育というものは双方のコミュニケーションによって成り立っているのです。
現在の教育現場は、一昔前とは大きく変わってきています。
少子化の傾向が進むとともに校内暴力やイジメの問題が深刻化する一方で、生涯教育という考え方も必要になってきます。

●環境心理学(人が環境に与える影響が今後の大きなテーマ)
みごとな建物ができあがったのに予想したほど人が集まらない、ということになるとこれは環境心理学の問題になります。建物さえ造れば人が集まる、というものではありません。「環境が人に与える影響」を考えるとともに、「人が環境に与える影響」を研究するジャンルといえます。これからの都市計画は、この観点を抜きにしては考えられないでしょう。
都市計画といったスケールの大きな問題だけでなく、たとえばゴミが放置されやすいのは「角地で」で「電信柱があり」「人通りが少ない」場所だと言われています。
さらに小さい例でいえば、部屋の模様替えをいろいろ考えるのも、住みやすい環境を整える第一歩です。これも一種の環境心理学と言えるでしょう。

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