心理学ジャンル後編

心理学ジャンル後編

今回も、前回ご紹介した心理学のジャンルについて軽くそれぞれご紹介します。

●臨床心理学(深刻な心の問題を研究)
重大な「心」の問題で苦しむ人たちとじかに接し、対処法を考える臨床心理学は現代社会に起こっているさまざまな現象を考えると、非常に重要な位置を占めているといえるでしょう。

研究範囲は広く、精神医学的領域(精神病、神経症など)、社会病理的な問題(犯罪、自殺など)をはじめ、青少年を取り巻く問題(非行、イジメなど)も含みます。 「心」の問題がクローズアップされている昨今、今後も重要性は高まってくると思われます。 精神分析学、犯罪心理学とも重なる部分が多く、幅広い知識が求められます。

日本では専門家によるカウンセリングや心理療法などはまだまだ特別のように考えられていますが、実際は健常と思われている人の中にも適切なアドバイスや治療が必要な人も多いと言われているので、偏見を無くすために努力することもこのジャンルの一つの課題なのかもしれません。

●社会心理学(社会的動物としての人間を取り扱う)
人間は社会的動物である、という言い方があります。 人間は必ずなんらかの「社会」(もしくは集団)に属しているものです。むしろいくつかの社会に属しているのが一般的でしょう。
ひと口に社会と言っても、家庭、学校、職場などいろいろなものが考えられ、規模もさまざまです。

社会構造がめまぐるしく変化し、情報化社会の急速な進展、援助交際、高齢化社会、といった過去には見られなかったような問題も生まれていきます。こういった問題に対処していくのもこのジャンルの課題です。

●犯罪心理学(主に犯罪の動機を研究)
なぜそのような行為に及んだか、という動機の分析が基本になりますが、逆に「なぜ犯罪を思いとどまるのか」という事を研究する方法もあります。いずれにしても、犯罪撲滅、犯罪者の人格改善などを目的にしていることに変わりありません。未成年の非行、不良行為も含まれます。

犯罪の動機についてはいくつかの説がありますが、フロイトに代表されるような精神分析的アプローチも盛んですが、個人的要因と社会・経済的要因の2つに集約することができそうです。 個人的要因 遺伝などの原因が考えられており、犯罪者には脳波に異常が見られる人がいますが、社会的要素との関連も深い要因です。

社会・経済的要因 大恐慌がもたらす貧困、戦争、災害なども犯罪につながります。ストレス社会も犯罪と無関係ではありません。このほかインターネットなどの新しいメディアの誕生が犯罪に結びついたケースを考えると、この先要因は無限に増えていきます。

●感情心理学(感情は高度な精神活動で本能的でもある)
人間の心の働きを構成している「知」にスポットを当てているのが認知心理学なら、「情」にスポットを当てているのが感情心理学です。 「感情」は広い意味を持ち、「気分」とか「情動」といった言葉を使う方がよさそうなものも含みます。

喜怒哀楽以外にも、人間には無数の感情があります。 感情が生まれるメカニズムと、感情が身体に及ぼす生理的な反応を研究するのが主目的です。ストレスと関連が深い「α波」などが感情心理学の領域です。

●災害心理学(災害時に人はどうなるのか)
災害には地震、台風など自然現象によって起こる自然災害と、人為的要因によって起こる人災(人間災害)があります。 災害と人間行動の関連性を研究する「災害心理学」には2つの側面があります。

1つは災害が発生したときに人間が示す反応の研究です。多くの人がパニックに陥り、デマや噂が混乱に拍車をかけると2次災害の原因になったりします。こうした事態を未然に防ぐために、災害が起きたときの人間の心理を研究し、迅速に避難行動などができる方策を見出すのが災害心理学です。

もう一つは被害者が受けた精神面のダメージに関する研究です。 PTSD(心的外傷後ストレス障害)という言葉が最近マスコミにも登場するようになりました。これはトラウマの後遺症とでもいうべきものです。

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